パリには年2回の子供服コレクションに出かけますが、ちょっとした住宅街
の中でも、やはりはっとするおしゃれな人々や子供たちを見かけます。
けっして流行のものや高価なもので身をかためていません。
例えば、きわめてシンプルなファッションに、自分によく似合う差し色の小物使いをする、そんなおしゃれです。
ある冬に、姿勢のきれいな白髪のマダムが、ヴィトンの赤い巾着ショルダーを肩にかけて颯爽と歩いているのを見かけた時は、その美しさに息をのみました。
彼女たちは、自分自身の個性を良く知っていて、それを上手にアレンジして引き立てているのです。
それは自分の個性に基づいたものなので、日本ではまだ多く見かけるように、「みんな同じ」ということは絶対にあり得ないのです。
おしゃれに限らず、音楽でもアートでも、まずは基本を身につけ、それから 初めて上手なアレンジができるというものです。
パリジェンヌのおしゃれの基本は子供時代にあると聞きます。
母親は子供にデザインと色のシンプルな服のみを与える。そこで徹底的に基本を学ばせているので、大人になると上手に個性を生かせるアレンジができるようになるというのです。
ついつい、子供に華美な服を着せ、自画自賛で安心してその時期を過ごしていると、おしゃれについての感性は、こんなに違ってきてしまうのですね。
私たちの子供たちは、内面も常に磨き上げ、T−シャツとジーンズに小物だけで個性の出せる素敵な大人に育てたいものです。 |