朝のチュイルリー公園で愛犬の散歩をしていたかなりご高齢のマダム。
白い髪におだやかな笑顔の美しかったマダムのいでたちは、仕立ての良いチャコールのダッブルコートにきちんとプレスされた細身のダブルのパンツ、きれいに磨かれた黒のモカシン、上質の黒革の手袋と上品カジュアルの究極でした。差し色がお持ちの新聞の見出しというところがまた洒落ていますよね。
このご年齢でこんなに可愛くしかも颯爽とダッフルコートを着こなす方にお会いしたのは初めてでした。素敵に年齢を重ねるとこうなれるのでしょう。何だか嬉しくなってしまいますね。
70才を過ぎてダッフルコートの似合うおばあさんを目指そうとひそかに心に決めました。
もう一人、今回のヨーロッパで素敵なダッフルコートのムッシュゥを見かけました。
その方を最初に見かけたのはパリへ向かうフィレンツェ空港のロビー。イタリア人だと思うのですが、その時は深いネイビーのカシミアのダブルのコート、胸にはシルクのポケットチーフがのぞいていました。どちらかというと小柄な方でしたが、ジャン・レノ風の風貌と全身から漂うおしゃれさに葉巻がとても印象的でした。
翌日行ったエルメスで再び彼と会いました。その時の彼が着ていたのがエルメスオレンジのダッフルコートです。袖に腕を通さずに肩から羽織っていましたが、あのオレンジのダッフルをいやみなく着こなせるのはかなりの上級者ですね。お見事でした。
今回のヨーロッパではそんな大人のダッフルコートといい出会いができました。
(Feb.1.'00)
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