Chic Chicks *Salon de The

- 小さな旅 -

仕事で出かけてちょっと寄り道をした時のことを綴ってみました

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緑のハート

スポレート(イタリア)

  

フィレンツェからローカル列車で3時間強、、、ウンブリア州のスポレートを訪ねてみました。
”Il Cuore Verde d'Italia”イタリアの緑のハートと言われるウンブリア州、その名のとおりアッシジを越えると車窓の緑や田園風景が大きく大きく広がりはじめ、長旅の緊張感が列車の進行とともに徐々にときほぐれていきます。と同時に初めての地を訪れる時のわくわく感も高まってきます。

スポレートもこのあたりによくあるような丘の上の町。城壁に囲まれた麓から頂上に至るまで町が続いています。7月の炎天下ではありましたがくねくねと坂を登っていきました。地図を片手に歩いていると「どこへ行くの?地図を見せて」通りがかりの地元の人が声をかけてきました。一瞬警戒しましたが純粋な親切心とわかりました。昨年この地を訪れたという知人からスポレートの人たちは素朴で親切でとても好印象だったと聞いていましたがどうやらそのようです。忙しい都会では忘れられた場面です。

イタリアの小さな古い町で見つける素敵な空間は路地になった細い坂道や階段です。
こういった道を見つけると足を踏み入れずにはいられなくなってしまいます。この先には何があるのでしょう?どんな生活の場が見えるのでしょう?どんな人と挨拶を交わすことになるのでしょう?好奇心がどんどん膨らみます。

そんな路地で出会った小さな女の子。
この町にはミスマッチと思える中華料理レストラン前に置かれた獅子(?)の石像のところで一人で遊んでいました。お互い言葉では満足に意志の疎通はできなかったもののほんのしばらく仲良く遊びました。
こういったことが私の旅の楽しみです。

丘の頂上近くにあるドゥオーモ、紺碧の空にファサードのモザイクの金色が映えていました。
この配色は内部にもありました。フィリッポ・リッピのフレスコ画「聖母の戴冠」。空と水と神さまのガウンに使われたブルーを基調として大きく輝く太陽の金色。
そういえば、アッシジの聖フランチェスコ大聖堂上部聖堂の天井もこのブルーに金色の星が散りばめられていましたね。ブルー/ゴールドは荘厳さの色なのかもしれません。
ドゥオーモ前の広場では、じきに始まる「ふたつの世界フェスティバル」に向けて大勢の人々が舞台設営に忙しそうでした。

丘を頂上まで上りそのまま進むとぱっと視界が開けます。深い谷にあふれるアペニン山脈の緑、この景色こそ「緑のハート」!
ひとり静かに自然の中に身をおきたくてこの地を選んだのですが期待通りでした。ここで大きく深呼吸。
この深い谷にかかる「塔の橋」の原型はローマ時代に建築された水道橋であったそうです。橋を渡っていると水の音が聞こえてきました。谷を流れる川でしょうか?それとも滝でしょうか?下を覗き込んでみるとその高さに足がすくみそうになりました。橋を渡りきった森の中、きれいな水が湧き出ていました。この水が谷に流れ込んでいく音だったようです。
ローマ時代以前から人が住んでいた形跡が見られるというスポレートに与えられた恵みは豊富な水と言えるでしょう。
ローマ時代の名残は町の中にも残っています。古代ローマ劇場、アーチ、噴水、、、それらが緑の自然に囲まれて中世文化とバランスよく両立している、それがこの町の魅力ではないでしょうか。

ノルチャの生ハム、黒トリュフのストロンゴッツィ、モンテファルコの赤ワイン。たっぷりの美味しさにも恵まれてスポレートの一日が終わりました。
たった一泊の滞在でものんびりと心穏やかに過ごせる素敵な町でした。

(Jul..30.'04記)

● バックナンバー ●
万華鏡の空(ローマ-イタリア)(Jan.21.'04).
聖人と小鳥たちの丘(アッシジ - イタリア)(Jul.28.'03)
静かなる湖畔のひととき(トラジメーノ湖 - イタリア)(Jun.26.'03)
中世へのタイムトリップ(シエナ - イタリア)(Jun.18.'01)

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