Chic Chicks *Salon de The

−くつろぎ−

空からこぼれる星と雪 − 山中湖紅葉の頃

今年も紅葉の季節がやってきました。燃ゆる山を包みこむ凛とした冷たい空気を感じたくて、この時期には足を山に向けてしまいます。
私は一年のクライマックスを感じるこの季節が一番好きです。
紅や黄に彩られた山々は澄みきった空気の中に鮮明に浮かび上がり、湖は過ぎ去った夏の喧騒からいつもの静寂を取り戻します。温泉の熱さが最も心地よく感じる季節の始まりです。旬のきのこはスープの味を深め、ついついワインもすすみます。11月半ばには獅子座流星群の到来で、真っ暗な空に流れる星を数えていると晩秋の寒さも忘れてしまいます。これが楽しみで、秋だけは毎年足を運ばずにはいられません。

中でもとりわけ印象的だったのは2年前の秋です。確か11月の後半、獅子座流星群がまだ見られる頃でした。午後に東京を発ち山中湖に着いたときにはとっぷりと日が暮れていました。その日はどんよりと曇り東京もとても寒かったのですが、湖畔に続く道路に表示されていた気温は0℃。しばらくするとはらはらと雪が降ってきました。雪や凍結の装備をしていない車に不安を感じながらも、11月の初雪には内心心が高まりました。
いつもの美味しい晩餐のあと、まだ雪が降っていたら流星は見られないところでしたが、その頃には運良くすっかりと晴れて明るい月の光があたりを照らしていました。持ってきたダウンジャケットを着込んで空を眺めていると、白く長い尾を引いてすーっと星が流れました。それも、映画の場面で見るような大きくて長いものでした。生まれたときから東京で生活しおまけに目も悪い私にとっては、長年生きていながらもこれがはじめて見る本物の流れ星だったので、その感動といったらちょっとした世界観が変わるくらいのものでした。
翌朝、朝食前に外へ出て見るとあたりにはうっすらと雪化粧が残っていました。もみじの紅に白い雪のコントラスト、雪をのせたくもの巣の糸、それらが朝の光の中できらきらと光り、まるで絵本の中の景色のようでした。
前日と一転して雲一つない快晴の中、紅葉の並木道のある河口湖へ。もちろんきれいにその姿を湖に映す富士山を背景に、思いきり紅葉狩りを満喫してきたのです。
たった1日半の短い旅でこれだけたくさんの顔を見せてもらったのは、今のところこれが最初で最後ですが、1度でもこういうタイミングに訪れることができたのはとてもラッキーだったと思っています。
さて、今年もそろそろ出かけてきますが今回はどんなことが?

(13/Nov/00)

● バックナンバー ●
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