Chic Chicks *Salon de The

−くつろぎ−

森からの贈り物 − 山中湖向日葵の頃

森の径

夏の山中湖へ出かけてきました。
オンシーズンの表情はずいぶんと様子が違います。湖上も湖畔もたくさんのボートと人々でにぎやかです。いつもは淋しげに見えていた観光船のスワンも、満員の乗客を乗せて意気揚々と滑り出していきます。
あいにくと今回はお天気が安定せず、ここでの楽しみの一つである"降るような星"は見ることができませんでした。
また、富士山もずっと機嫌が悪く、最終日にやっと雲の合間にその姿をちらっと覗かせてくれた程度でした。
そんな中、樹海の短いトレイルコースを歩いてみました。このお天気なので、夏だというのに他の観光客は誰ひとりいません。そこにあるものは、鳥の声と私たちの地面を踏みしめる音だけ。地面は溶岩の上に落葉が重なっていったものでふわふわとして不思議な感覚です。時折降る雨が緑の天井を一層鮮やかにしています。すると、しなった枝のアーチの下に黄色くなった葉がはらはらと落ちているところがありました。あまりにきれいで思わず足が止まりました。自然が創り出すシーンに勝る完璧な美しさはありません。また、そのシーンは一刻一刻変化し二度と同じものは見られないでしょう。この場面に偶然立ち会えたことに感謝です。
ひんやりとした空気が動くと森の香りがたちこめます。東京にはない美味しい空気を思い切り味わいながら、仙人が食べているという霞とはこれかもしれないなどと思いつつも、俗人はいつにない快い空腹感にあらためて「健康」を再確認するのです。
自然の中では季節もお天気もあまり関係ないようです。心を澄まして彼らを知ろうとすると、その都度、新鮮な驚きと発見、喜びのたくさんつまった素敵な贈り物をもらえます。
山中湖の裏山?の忍野というところに大きな大きな富士山をバックにしょったお花畑があります。この時期は向日葵と秋桜が満開でした。夏の花と秋の花が同時に咲く8月半ばの山中湖の空を見上げると、やはりかすかに秋の気配を感じました。

(Aug.18.'99)
向日葵

● バックナンバー ●
カッコウで目覚める朝−山中湖新緑の頃 (May.30.'99)

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