運良くゴールデンウィークの渋滞をうまく逃れ、つかの間の息抜きに出かけてきました。 今までこの時期の山中湖は混雑を予想して避けていましたが、ほんの少しでも自然の中に身を置きたくなったのです。夕方に東京を発ち、ちょっと遅い夕食になりました。
翌朝4時半にまぶしい明るさで目を覚ますと雲一つない快晴。部屋の窓越しに富士山がその雄大な姿を見せてくれていました。 季節にかかわらずここでの一番すてきな「時」は早朝です。森の木々の間を、澄み渡った空気にのって朝靄が静かに抜けていく、、、とても神秘的です。どこからか鶯のさえずりも聞こえます。至福のひとときです。
朝食後ゆっくりとチェックアウトをし、車を走らせているとこのあたりはまだ桜が咲いていました。東京の桜が3週間ほど前に終わってしまい名残惜しかったところ、今年は2度も楽しむことができました。上品で優雅な桜は何度見ても良いものです。
忍野では小川の土手に続く桜並木。富士を背に花びらが川面に舞い落ち流れていくさまには手放しで見とれてしまいました。童謡や唱歌から想像する風景そのものでした。田舎のなかった私ですが、なぜかとても懐かしさを感じました。
富士山吉田口登山道の中ノ茶屋をちょっと入ると、そこは「ふじざくら」の群生地です。 樹海の間の群落はちょうど見頃でした。別名「乙女ざくら」とも呼ばれる「ふじざくら」は堂々とした「そめいよしの」とはまた違い、幹も枝も細く背丈も低いのですがその名の通り楚々とした少女を思わせる桜でした。片道約2kmの桜のハイキングコースを往復してきました。もうこれで満足です。
今回も短い滞在時間でしたが、お天気にも恵まれ、この時期の楽しみを桜三昧で十分満喫することができました。 富士山とのお別れにバックミラーを覗くと、早めの午後の陽射しを浴びて鯉のぼりが元気よく泳いでいました。
(May.3.'00)
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